Gratuit avec l'essai de 30 jours

Choisissez 1 livre audio par mois dans notre incomparable catalogue.
Écoutez à volonté des milliers de livres audio, de livres originaux et de balados.
Accédez à des promotions et à des soldes exclusifs.
L'abonnement Premium Plus se renouvelle automatiquement au tarif de 14,95 $/mois + taxes applicables après 30 jours. Annulation possible à tout moment.
Page de couverture de 奇妙な遠眼鏡

奇妙な遠眼鏡

Auteur(s): 夢野 久作
Narrateur(s): 村上 めぐみ
Essayer pour 0,00 $

14,95$ par mois après 30 jours. Annulable en tout temps.

Acheter pour 3,82$

Acheter pour 3,82$

Payer avec la carte finissant par
En confirmant votre achat, vous acceptez les conditions d'utilisation d'Audible et la déclaration de confidentialité d'Amazon. Des taxes peuvent s'appliquer.

Description

 ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。ある時、お父さんが、「今日は三人に一つずつオモチャを買ってやるから、何でもいいものを云ってみろ」と云われました。アアは何でも狙えばきっとあたる鉄砲、サアは何でも切れる刀、リイはどこでも見える遠眼鏡を欲しがりましたが、どれもむずかしくてだめでした。そのうえアアとサアは、危ないものを欲しがるものじゃない、と叱られてしまいました。

 アアとサアは大変にくやしがって、その晩、兄弟三人が揃ってへやに寝ますと、リイを窓から外へひきずり出して、そのまま窓をしめて寝てしまいました。

 リイは涙をポロポロこぼしながらお月様を見ておりますと、不意にうしろの方からシャガレた声で、「リイやリイや」と云う声がしました。ビックリしてふり向きますと、そこには顔色の青い、眼の玉の赤い、白髪のお婆さんが立っておりました。お婆さんはニコニコ笑いながら、外套の下から小さな黒い棒を出してリイに渡しました。そうしてリイの耳にシャガレた低い声でこういいました。

「この眼がね、眼にあてて 息つめて、アムと云え すきなとこ、見られるぞ。 このめがね、眼に当てて すきなとこ、のぞいたら 息つめて、マムと云え どこへでも、ゆかれるぞ」

リイはためしに黒い棒を片っ方の眼に当てて、向うの山の上のお月様をのぞいて、教わった通り、「アム」と云って見ました。リイはあんまり不思議なのに驚いて、棒を取り落そうとした位でした。お月様の世界がリイの眼の前に見えたのです。





夢野久作



日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。1889年(明治22年)1月4日-1936年(昭和11年)3月11日。他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
(c)2017 Pan Rolling

Ce que les auditeurs disent de 奇妙な遠眼鏡

Moyenne des évaluations de clients

Évaluations – Cliquez sur les onglets pour changer la source des évaluations.