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Page de couverture de Ep.710 NTT×OptQC、2030年へ──“光”でつくる100万量子ビット計画(2025年11月20日配信)

Ep.710 NTT×OptQC、2030年へ──“光”でつくる100万量子ビット計画(2025年11月20日配信)

Ep.710 NTT×OptQC、2030年へ──“光”でつくる100万量子ビット計画(2025年11月20日配信)

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NTTと東大発のOptQCが、実用レベルの光量子コンピュータ実現に向けた連携協定を結びました。目標は2030年までに“100万量子ビット”規模のスケーラビリティと、数千の論理量子ビットを安定生成できる誤り耐性の確立。通信の世界で磨いた光増幅や光多重化、通信起源の誤り訂正の知見を量子へ総動員し、常温・常圧で動く低消費電力の“光方式”を社会実装へ押し上げる構図です。発表文は、まず5年間の共同検討で技術・ユースケース・サプライチェーン・社会実装までを一体で詰めると明記しています。


連携の柱は四つ。量子向けの多重化・誤り訂正技術の創出、ユースケースやアルゴリズム/ソフトの開発、サプライチェーン設計、そして社会実装です。初年度は技術検討とパートナー連携、2年目に開発環境、3年目にユースケース検証という実務的な足並みも示されました。NTTはIOWNで育てた光技術群を量子へ適用済みで、量子光源では“従来の1000倍以上”の高速生成を実証済みとし、OptQCはNEDOの「1万量子ビット」開発プロジェクトを推進中と背景を説明しています。


英語版のリリースでも“By 2030, one million qubits”を打ち出し、用途は創薬、材料設計、金融最適化、気候予測などの計算集約領域を想定。スケーラビリティ(数を増やす)と信頼性(誤りに強い)を同時に狙う“通信×量子”の掛け算が、実用への近道だと強調します。国内外の配信では同趣旨が反復され、NTTの島田明社長は「2030年に世界トップレベル」と語った旨の国内報道も並びました。


ここで少しだけ噛み砕きます。光方式は“冷やしこまず”“強い電力を注ぎ込まず”に大規模化できるのが魅力。一方で、100万というのは物理量子ビットの話で、実用計算を支える“論理量子ビット”を安定運用するには、誤り訂正と配線・光源・検出の全体設計が要です。今回の協定が“技術だけでなくサプライチェーンと社会実装まで含める”と踏み込んだのは、この総合設計を外さないための布陣、と読み解けます。


日本の産業界への射程も見えてきます。発表文は、創薬・材料・金融・気候の高負荷タスクを主要ターゲットに掲げました。いわば“AI×HPCの外側”にある、量子が得意な探索・サンプリング・量子系シミュレーション領域。2030年を視野に、従来のGPUクラスターと量子アクセラレーションをどう棲み分けるか、どの工程で“量子に渡すと速い/省エネ”かを企業側が先回りで設計できるかが、勝負所になります。NTTとOptQCは今後5年間でユースケースの共同検証を進めるとし、外部パートナーの受け入れも明記しました。


最後に位置づけです。2024年の「汎用型光量子計算プラットフォーム」始動、2025年1月の“1000倍速”量子相関生成という前史が今回の協定を下支えしています。通信インフラ企業が“光の作法”をそのまま量子へ持ち込むことで、量子の量産化・標準化の道筋が現実味を帯びてきました。2030年のゴールが“看板”であると同時に、年次マイルストンを刻む工程表が示された――日本発の量子ロードマップとして、実務家にとって追いかけやすい一歩です。

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