Japanese Contemporary Fiction

公園のベンチの肘かけが切断された。市役所の都市整備課に勤める鈴木は事件により、「排除アート」という言葉を初めて知る。今まで正義と疑わなかったものが、誰かを排除していたとしたらーー？

『Ⅰ』18歳の容姿・身体機能を保ったまま45年の寿命を生きるか、『Ⅱ』従来通り平均寿命の95年を生きるか──女性が18歳を迎える際にどちらかを選べる「選択制度」が発足した日本。

表参道で、高校３年生の我孫子美亜は人を待っていた。戦禍の大磯で、ミヤコは毎日出征する人の送り出しに忙しなくしていた。在日韓国人パクチヘは、夫の仕事の都合で60歳にして初めてソウルで暮らす。

俺はテレビで爆発事件のニュースを目にする。被害者の名前には見覚えがあった。あいつが爆発で死んだのなら、かつて俺が作った爆弾が原因だろう。だが、なぜいま爆発したのか。（GOAT 第２号「GOAT Summer 2025」掲載）

皇室というしきたりに生きる成年皇族の槇子。スケボーに興じる17歳の少年に、思わずこう声をかけていた。「あたしの家で練習しない？」――いまだかつてなかった宮様・ミーツ・スケボー小説！（「GOAT meets 01」掲載）

人の生きる意味を問う。著者畢生の歴史大作日本革命前夜－時は幕末。北関東の清流、那珂川が流れる黒羽藩で、青年下士・板倉誠之介は育まれた。彼の養父、主水丞は百姓一揆に同調したことで、一家は厳しい生活を余儀なくされているが、誠之介の心には、民を思い、信念をもって立ち向かう侍への憧れが宿っていく。

「電灯のスイッチを切って扉を後ろ手に閉めるまでの長い時間、僕は後ろを振り向かなかった。一度も振り向かなかった」東京で友人と小さな翻訳事務所を経営する〈僕〉と、大学をやめ故郷の街で長い時間を過ごす〈鼠〉。

【オーディオブック特別編集版】本オーディオブックには以下の内容が収録されています。・書き下ろし小説「冬色ラプソディー～北宇治高校　 定期演奏会～」・書き下ろし小説「星彩セレナーデ～北宇治高校＆立華高校　 合同演奏会～」・『響け！ユーフォニアム』日誌　武田綾乃

バーのマスターが趣味で作った、美しいロボット。見た目は人間そっくりだが、できるのは簡単なうけ答えと、酒を飲む動作だけ――。

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく――。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄弟の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか？

青春の地をたどる、著者の「神戸物語」――神戸に一度でも住んだことのある外国人は、世界のどの都市にも住みたいとは思わなくなるという。……「早春」は小学生の頃から特別な親しみを抱いていた神戸を妻とともに何度も訪ねる話だ――（著者あとがきより）　大阪府出身ながら著者自ら“青春の地”と称する神戸を、著者の同級生や神戸在住の叔父夫婦、貿易商の郭夫妻らとの交流を通じ、さまざまな角度からとらえて

図書館の奥まった半地下の館長室で、薪ストーブの火を見つめながら子易（こやす）老人は「私」に語りかける。「ここはなにより、失われた心を受け入れる特別な場所でなくてはならない」、と。そんなある日、「私」の前に不思議な少年があらわれる。

その「青さ」は、本物か――？最年少で管理職となり、仕事一筋で駆け抜けてきた編集者・有沢真由子。五十歳の誕生日を迎え、つかの間の息抜きに訪れたリゾートホテルで、彼女は一枚の絵画と出会う。

「あなたの一票が、首相を決める」20XX年、第５回首相直接選挙、開幕！十数年前から日本に取り入れられた直接民主制。国会は廃止され、議員は20歳以上の国民からランダムに選ばれる

あなたと私は違う。だから、一緒にいよう――。『ふがいない僕は空を見た』『夜に星を放つ』の著者が、今を生きる人々に贈る感動作。【各界からの反響続々！】なんて誠実な小説なのだろう。

2次予選での課題曲「春と修羅」。この現代 曲をどう弾くかが3次予選に進めるか否かの 分かれ道だった。マサルの演奏は素晴らしか った。が、明石は自分の「春と修羅」に自信 を持ち、勝算を感じていた……。

両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のＧ国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。

千華子を人質にとられ練は、ニコと名乗る少年から危険なマヤの儀式への参加を強制された。それは生死をかけて争う苛酷なレース。刻一刻と過ぎる時間。制限時間まで残りわずか――。しかし、そのとき国全体をさらに揺るがすとんでもないことが起こった。

一年生部員たちもようやく部活に慣れ、コンクールに向けた練習もいよいよ本格的になってきた北宇治高校吹奏楽部。しかし麗奈は、オーボエのみぞれのソロの出来に不満を感じていた。二人で音大を目指すというみぞれと希美だったが、その関係が演奏に影響を及ぼしているのだろうか。また、一年生の小日向夢は、実力者でありながらソロを吹くことを嫌がり……。アニメも大人気の吹部エンタメ、新章完結編。

九州の水郷都市・箭納倉。ここで三件の失踪事件が相次いだ。消えたのはいずれも掘割に面した日本家屋に住む老女だったが、不思議なことに、じきにひょっこり戻ってきたのだ、記憶を喪失したまま。まさか宇宙人による誘拐か、新興宗教による洗脳か、それとも？