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  • #27 サンタ・マリア・デル・ポポロ教会にて、ローマの光と闇を歩く。カラヴァッジョとカラッチ、正反対の天才はなぜ同じ礼拝堂に選ばれたのか?
    Jan 26 2026

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第27回の舞台は、ローマの北の玄関口、ポポロ広場に佇む「サンタ・マリア・デル・ポポロ教会(Santa Maria del Popolo)」です。

    バチカンの巨大なスケール感に圧倒された後にここを訪れると、その密度に驚かされるはずです。一見、控えめな外観の教会ですが、そこはラファエロ、ベルニーニ、カラヴァッジョ、カラッチといった芸術家たちの執念が地層のように重なり合う、ローマ屈指の濃密スポットです。

    今回のメインは、奥に位置する「チェラージ礼拝堂」。 なぜ、美術史上最もスキャンダラスな天才カラヴァッジョと、伝統的な美の守護神的存在のアニバレー・カラッチという水と油のような二人が、同じ狭い礼拝堂を飾ることになったのか? その裏には、当時の教皇庁の金庫番だった依頼主ティベリオ・チェラージによる、極めて高度で戦略的なキュレーションがありました。

    暗闇から馬の尻を突き出すカラヴァッジョの破壊的リアリズムと、中央で極彩色の光を放ち舞い上がるカラッチの『聖母被昇天』。天国と地上の泥臭さが1メートルという至近距離でぶつかり合う、この空間だけの熱量をお伝えします。

    さらに、映画『天使と悪魔』でも鍵となったベルニーニのキージ礼拝堂、そして教会の地下に眠る皇帝ネロの悪霊伝説まで、じっくり語ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・チェラージ礼拝堂の戦略:依頼主が「正反対の二人」を選んだキュレーションの極意。

    ・カラヴァッジョ vs カラッチ:革新的な「闇」と伝統的な「光」、二つの美学の衝突。

    ・カラッチの『聖母被昇天』:カラヴァッジョの闇を中和し、礼拝堂を救う圧倒的色彩。

    ・カラヴァッジョの衝撃:馬の尻、汚れた足の裏。聖なる場面に「泥臭い現実」を持ち込んだ真意。

    ・ベルニーニの演劇性:ラファエロの宇宙を引き継ぎ、空間全体を劇場に変えたバロックの魔法。

    ・皇帝ネロの呪い:ポポロ(市民)の教会という名前に隠された、1000年前の悪霊退治の真相。

    ・マルティン・ルターの滞在:宗教改革の火種を育んだ、この教会での不信感。

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    18 min
  • #26 バチカンのサン・ピエトロ大聖堂。地下に眠る漁師の記憶、ミケランジェロの『ピエタ』に宿る魂、そして551段の階段を越えて辿り着くローマの頂へ
    Jan 19 2026

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第26回は、バチカン市国の中心にして、人類至高の美が詰まった「サン・ピエトロ大聖堂(St. Peter's Basilica)」を徹底解説します。

    まずは大聖堂の真下、歴代教皇が眠る「グロッテ」へ。 実は、この大聖堂の名前になっている聖ペトロは、もともとはごく普通の漁師でした。そんな一人の男性の墓が、なぜ世界最大の教会の基軸となったのか?2000年前の質素な記憶と、現在の豪華な建物の意外な繋がりを紐解きます。

    地上に上がり見上げる天井の文字が実は2メートル以上の巨大なモザイクであるという、計算され尽くしたスケール感の秘密。24歳のミケランジェロが刻んだ唯一の署名入り傑作『ピエタ』。そして、ベルニーニが古代遺跡パンテオンの青銅を剥ぎ取ってまで作り上げた、高さ29メートルの巨大天蓋「バルダッキーノ」。

    旅のクライマックスは、自らの足で登るクーポラ(大ドーム)。 二重構造の壁の間を、体が斜めになりながら登る過酷な320段の階段。その先に待っていたのは、ベルニーニが設計した「天国の鍵」を象徴する広場と、360度パノラマで広がるローマの街並みでした。 美、歴史、信仰、そして肉体的な体験。これらがどう結びついて一つの感動になるのか。サン・ピエトロ大聖堂の真の姿に迫ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・地下墓所「グロッテ」:なぜサン・ピエトロ大聖堂はこの場所でなければならなかったのか。

    ・聖ペトロの素顔:ガリラヤ湖の漁師が、いかにして教会の礎となったのか。

    ・大聖堂のスケール感:見上げる文字は人の背丈より大きい? 遠近感を狂わせる建築のデザイン技術。

    ・ミケランジェロの『ピエタ』:若き天才が忍び込んで署名を刻んだ、情熱のエピソード。

    ・ベルニーニのバルダッキーノ:ねじれた柱に込められた意味と、パンテオンから剥ぎ取られた青銅の行方。

    ・クーポラ登頂体験:ドームの二重構造の隙間を歩く。斜めの壁がもたらす不思議な身体感覚。

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    24 min
  • #25 ローマ・バルベリーニ宮。絵画に隠されたラファエロの愛とカラヴァッジョのテネブリズム。欲望によって生まれた美しい建築が織りなすバロックの迷宮
    Jan 15 2026

    旅先の美術館・アートを楽しむための視点をお送りするArTrip Studio。

    第25回目の旅先は、ローマが誇るバロックの殿堂「バルベリーニ宮国立古典絵画館(Palazzo Barberini)」です。

    パンテオンのブロンズを剥ぎ取ったバルベリーニ家の野望が生み出したこの宮殿。そこには、美術史に残る天才たちの火花散る競演が隠されていました。

    実は今回の旅には、ちょっとした誤算がありました。お目当てのカラヴァッジョの傑作が出張中で不在・・・。しかし、その空白があったからこそ見えてきた、名画たちの奥深い物語があります。

    ベルニーニとボッロミーニが階段に刻んだ対照的な性格、ラファエロが愛する女性の左腕に忍ばせた署名の秘密、悲劇の少女ベアトリーチェの瞳など、実際に美術館に訪れ、絵を観た体験を元に語っていきます。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・破壊と創造のバルベリーニ家:パンテオンの略奪から始まった、一族の強烈な自己顕示欲の跡。

    ・二つの階段の物語:陽キャのベルニーニと陰キャのボッロミーニ、二人が競った建築の魔術。

    ・『ラ・フォルナリーナ』の深淵:X線調査で判明した、ラファエロが塗りつぶした「結婚指輪」の跡。

    ・カラヴァッジョ作品の深掘り:不在の『ホロフェルネスの首を斬るユディト』が語る劇場的な没入感と、闇に浮かぶ『ナルキッソス』の狂気。

    ・悲劇が神話になる時:処刑直前のベアトリーチェ・チェンチの肖像。その眼差しがカラヴァッジョに与えた影響。

    ・蜂たちの勝利:天井画『神の摂理の勝利』が400年後の私たちに突きつける圧倒的な説得力。

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    22 min
  • #24 ローマ・トラステヴェレ。巨匠ブラマンテが到達した完璧な建築「テンピエット」。芸術の歴史を変えた小さな神殿の圧倒的な魅力
    Jan 12 2026

    旅先の美術館・アートを楽しむための視点をお送りするArTrip Studio。

    第24回の旅先は、今回のローマ滞在で、どうしても自分の目で見たかった場所。巨匠ドナト・ブラマンテが設計した、ルネサンス建築の結晶『テンピエット』です。

    トラステヴェレの路地裏で観光客の姿が消えた静かな坂道を登り、たどり着いた先に待っていたのは、ブラマンテが数学的な美しさを凝縮させた究極の調和でした。

    なぜ、この直径わずか数メートルの建物が、後のサン・ピエトロ大聖堂や世界中の建築にとっての真理となったのか?体験を元に解説します。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・ブラマンテのテンピエット:巨匠が完璧な円に込めた知性と、ルネサンス建築の頂点とされる理由。

    ・トラステヴェレとジャニコロの丘:観光客の喧騒を離れ、自分だけのローマと対峙する余白の時間。

    ・聖ペトロ殉教の穴:美しい建築の真下に隠された、歴史の生々しい感触。

    ・ブラマンテ vs ミケランジェロ:嫌い合いながらも実力だけは認め合った、芸術家たちのプライド。

    ・閉ざされた扉の向こう側:名前を奪われた悲劇のヒロイン、ベアトリーチェ・チェンチの物語。

    ・スペイン王立アカデミー:過去の遺産の中で息づく現代アート。予定通りにいかない旅の楽しさ。

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    17 min
  • #23 ローマ・ナヴォーナ広場とサンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会。ベルニーニ vs ボッロミーニ。石に刻まれた芸術家たちの嫉妬と孤独
    Jan 8 2026

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第23回の旅先は、ローマの観光中心地ナヴォーナ広場に建つ、サンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会です。

    広場の主役である「四大河の噴水」を作ったスター建築家ベルニーニ。その目の前に教会を建てた、孤高の職人建築家ボッロミーニ。ローマ・バロックを二分するこのライバル関係は、まるで映画のようなドラマに満ちていました。

    「噴水の像が教会を怖がっている」という有名な都市伝説の真偽は?なぜボッロミーニは、教会の壁を内側に湾曲させたのか? そして、完成直前にクビになり、自ら命を絶ったボッロミーニの壮絶な最期とは。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・陽キャvs陰キャ:スター街道を歩むベルニーニと、神経質な職人ボッロミーニの確執。

    ・広場の都市伝説:噴水の彫像が教会をディスっている? その真相を解説。

    ・湾曲するファサード:狭い広場でドームを見せるための、視覚トリック。

    ・サンタニェーゼ(聖アグネス)の奇跡:13歳の少女が裸にされた場所で起きたこと。

    ・ボッロミーニの死:自ら剣に倒れた孤独な最期と、彼が遺した美学。

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    15 min
  • #22 ローマ・サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会。コインを入れると闇に浮かぶ、カラヴァッジョの光と影の三部作
    Jan 6 2026

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。第22回の旅先は、ローマ・パンテオンのすぐ近くにある「サン・ルイジ・デイ・フランチェージ教会」です。

    入場無料、予約不要の、一見すると普通の教会ですが、その奥にある「コンタレッリ礼拝堂」には、美術史を覆した革命的な作品、若き日の天才カラヴァッジョが描いた、聖マタイの三部作が飾られています。

    闇の中から浮かび上がる、薄汚れた足の聖人と、路地裏のようなリアルな光景。なぜ彼は、聖書の物語を「現代の酒場」として描いたのか? そして、殺戮の場面に描かれた「悲しげな自画像」の意味とは?


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・聖マタイの召命:イエスの指先はなぜあの名画と同じなのか? 服装が意味する現代性。

    ・聖マタイの霊感:拒絶されたテイク1。汚い足の裏を見せて激怒された理由。

    ・聖マタイの殉教:カオスな画面の奥で、無力に立ち尽くすカラヴァッジョ本人。

    ・路地裏の革命:聖人を人間として描いたリアリズムへのこだわり。

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    16 min
  • #21 バチカン美術館の見どころを徹底レポート。不完全な彫刻の美しさ、地図の回廊の眩さ、ラファエロの間の意味、現代アートコレクション、システィーナ礼拝堂の絵画の裏側
    Jan 1 2026

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第21回の旅先は、世界最小の国にある美の殿堂「バチカン美術館(Vatican Museum)」です。

    歴代教皇が集めた膨大なコレクションは、まさに「美の洪水」。 有名な「ラオコーン像」はもちろん必見ですが、この巨大迷宮の本当の魅力は、その先に広がる知られざる傑作たちにありました。

    ミケランジェロが師匠と崇めた手足のない彫刻「ベルヴェデーレのトルソ」。 16世紀の世界地図に没入できる空間「地図のギャラリー」。 ラファエロが描いた哲学者と画家のオールスター感謝祭「アテネの学堂」。

    そして今回は、多くの人が素通りしてしまう「現代宗教美術コレクション」の見どころを深掘り。 ルネサンスの美の後に突如現れる、ゴッホが描いた「ピエタ」や、マチスの純粋な祈りが込められた「司祭服」。 システィーナ礼拝堂の直前にあるこのエリアが、なぜ心を打つのか?

    旅のクライマックスはシスティーナ礼拝堂。ミケランジェロの描いた「天地創造」と「最後の審判」。 批判者への強烈な復讐と、天才画家が最後に描いた悲痛な抜け殻の自画像とは。 人間としてのミケランジェロの壮絶なドキュメンタリーに迫ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・ベルヴェデーレのトルソ:手足がないからこそ生み出すクリエイティビティ。ミケランジェロが修復を拒んだ理由。

    ・地図のギャラリー:16世紀の世界地図。黄金の天井と精密な地図が作るイマーシブ体験。

    ・アテネの学堂:絵画の中のダ・ヴィンチ 、ミケランジェロ、ラファエロ。 巨匠たちの共演。

    ・現代アートコレクション:なぜここにゴッホやマチスが? システィーナ直前の現代美術。

    ・システィーナ礼拝堂:天井画制作の過酷さ、批判者へのリベンジ、そして絵の中のミケランジェロの姿。


    【写真は下記noteに掲載】

    https://note.com/augustartrip/n/nd95d59ba52b0

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    27 min
  • #20 ローマ・パンテオン。2000年崩れないコンクリート建築の秘密と、安藤忠雄も追い求めた光の意味
    Dec 29 2025

    旅先の美術館・アートの楽しみ方をお送りするArTrip Studio。 第20回の旅先は、イタリア・ローマの中心部に鎮座する「パンテオン(Pantheon)」です。

    賑やかなロトンダ広場の路地裏に突如として現れる、古代ローマの巨大な神殿。 そこは遺跡ではなく、2000年前から時が止まったかのような建築でした。

    鉄筋を一切使わずに作られた世界最大の「無筋コンクリート・ドーム」は、なぜ崩れないのか? 天井に空いた巨大な穴「オクルス」が作り出す、太陽のスポットライトと雨の演出。 そして、ルネサンスの巨匠ラファエロが、自らの墓としてこの場所を選んだ理由とは。

    建築家・安藤忠雄のエピソードも深掘りします。 若き日の世界放浪で出会ったパンテオンの衝撃と、「行くたびに見え方が変わる」という言葉の意味。 コンクリートと光の原点にある物語に迫ります。

    また、観光客で溢れる昼の賑わいと、ライトアップされた夜の荘厳さ。 2000年の時を超えて愛され続ける広場の魅力についても語ります。


    【今回のハイライト:こんなことがわかります】

    ・広場の熱気:ジェラートと音楽と古代遺跡。ローマの中心に位置するロトンダ広場の空気感。

    ・古代のテクノロジー:上に行くほど軽くなる? 鉄筋なしでドームを支えるコンクリートの配合技術。

    ・球体の宇宙:直径43.3m × 高さ43.3m。建物の中に隠された球体の幾何学。

    ・建築家安藤忠雄の視点:コンクリートの塊に命を吹き込む光。建築が映し出す自分の内面。

    ・夜のパンテオンの魅力:ライトアップされた神殿を眺めながら過ごす、贅沢なローマの夜。


    【写真は下記noteに掲載】

    https://note.com/augustartrip/n/nd46bcd7d2be1

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    22 min